家事援助で問われる力量

ヘルパーの仕事である家事援助には、ヘルパーとしての力量が問われる課題がたくさん含まれています。

例を挙げてみます。利用者が経済的に切迫しているわけではありませんが、節約をモットーとしている高齢者で、日ごろから物を捨てることがないとします。台所にあったピーマン3個で料理を依頼されました。しかも、油はあまり好きでないとのことで、油抜きで作って欲しいという希望です。この依頼をどのように受けて、上手く料理を作るかは自分の手にかかっています。

この時に何の工夫もせずに、頭から栄養について講釈したり、「こんなことできるわけない」と、利用者の要望に応えようとしなければ、それ以降の関係はぎくしゃくしたものになってしまうでしょう。ここで肝心なことは、どんな状況でも対応できる調理の腕と、利用者の依頼に最大限応えようと工夫する前向きな姿勢です。それは「あなたを大切に思っています」というサインにもなるのです。

今回の例でいえば、ピーマン3個の一つは千切りにし、湯がいてかつ節をかけて、おひたしに。二つ目は網焼きに。三つ目はみそ汁にして作るなど、料理の腕がある人の知恵を参考にすれば、きちんと術はあるのです。利用者は結果としての料理に満足するかどうかよりも、自分の依頼に応えてくれたヘルパーを信頼することは間違いありません。それ以降の利用者とのコミュニケーションは良くなり、気持ちを開いて受け入れるようになるでしょう。このように、利用者の要望に答えることは、お互いの距離を縮めることにも繋がるのです。